夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

チコ 5

アルのアーカイブより。

部屋に入ってきたチコは、私が命じた妙子のことで、動揺しているのは明らかだった。
デスクチェアーに座りなおし、腕組みした私の前で、おどおどした様子で俯いた。
「どうしたチコ」
「何か用か?」
「・・・」
「返事しろ」
チコの身体が一瞬すくみ、肩を震わせた。
「わかりません・・」
「わからない?」
「どうしたらいいのか」
「妙子さんとのこと・・」
「妙子?」
「はい・・」
「寝てやれと言ったはずだ」
「でも、でも」
「芳村さん」
「僕は・・」

自分なりに考えた、世話になった妙子への恩返しをあっさり否定され、さらには、私が命じた屈辱に苛立ちが隠せないチコ。私はチコを睨み付け、「行くも戻るも、お前次第」と無言で威圧し、返答を迫った。愚かな気持ちで踏み込んだ私との関係が、想像以上に重く、辛いことに戸惑う、チコの揺れる気持ちが手に取るように分かった。長い沈黙の末、自分の立場を受け入れたチコは、後悔とも諦めとも違う眼差しを私に向け、小さく頷いた。

私は、ゆっくりとミネラルウォーターを飲み干し、深い溜息を吐いた。「しょうがない奴だ」と、いかにも大袈裟に舌打ちし、立ち上がった私はチコの腕を掴み、バランスを失い身体を泳がせるチコを抱え、仄暗いベッドに押し倒した。シーツの上に崩れたチコの身体を跨ぎ、首に巻かれたマフラーを外した。
「縛られたいか?」
「縛ってください・・」自分の性癖を吐露する濡れた瞳を向け、潤んだ声で答えた。
眼を閉じ羞恥心に上気した横顔。手の甲に触れる紅潮した少女のような頬が、私の加虐趣味を惑わす。力を無くした両腕を背中に廻し、引き抜いたベルトで手首を締め上げ、チコの背中を膝でベッドに押し付け、細いパンツを強引に引き抜いた。欲情を魅了する、黒いガードルの小さな尻。艶めかしい光沢を帯びたパンストの脚。乱暴にガードルごとパンストを膝まで引きずり下ろし、黒いサテンのパンティーに指を掛け、一気に捲った。
「チコ、妙子はお前のこの身体が欲しいと」
「お前だって」
「この尻に」
「妙子の指が欲しいだろ?」見飽きることの無い、真っ白い柔らかな尻臀をわしづかみした。
声にならないチコの悲鳴に、惑乱した私は、引出しから取り出した潤滑ゼリーを垂らした指先を、閉じた肛門に無理やり突き刺し、チコの逃げる腰を押さえ、掻き回した。
「あっ、嫌!」
「チコ、そんなに締め付けると」
「妙子の綺麗に手入れしたネイルが剥がれる」
「駄目、許して」

身体の奥で指を鍵のように曲げ、チコの細い首に腕を廻し抱きすくめ、火照った耳朶に囁いた。
「いいかチコ、お前にその気が無くても」
「あの世界では通用しない」
「おまえ可愛さで連れ歩いている妙子も、商売になると分かれば、お前を見る目も変わる」
「だがチコ、やり手の妙子も女」
「女を忘れられなかった」
「若い恋人も欲しい、商売もしたい」
「水商売が長い妙子は痛いほど分かっている」
「恋人を店に立たせるなんて、出来ないことは・・」
「だがな、チコ、苦しむ妙子を見るのも、いいかもしれんぞ」
「そうだろ?」


続く。
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