夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

チコ 3

アルのアーカイブより。

折り入って話があると掛かってきた妙子からの電話、何時になく妙子の神妙な言い回しに、
いい話ではないことは察しがついたが、部屋を移ったこともあり、新しい部屋の番号を教えた。

「まあ、素敵なお部屋」
「同じ景色も見飽きた」
妙子はスカーフを緩め、夕暮れに染まる東京の街に足を止めた。
「妙子、ホテル住まいは楽だぞ。気を使うこともない、何でもある」
「芳村さん、浜田山のお宅は?」
「住み込みの夫婦に任せた」
「ソファーは気に入らなくて入れ替えさせた」
「好きなとこに掛けてくれ」
「お茶を運ばせる」

仕立ての良い派手過ぎないテーラーメイドのスーツを着こなし、誂えた上品なクロコのハンドバッグ。
客当りを考え、敢えてブランド物を避ける妙子の計算尽くの身だしなみが、上客に可愛がられる所以だろう。
「妙子、無い袖は振れんぞ」
「もう、芳村さんたら、おかげ様で」
「実は今日お邪魔したのは・・」
ティーカップをそっと置き、言い難そうに口を開いた。

「チコちゃんのこと」
「チコ?」
「ええ・・」
「芳村さんが承知してくださって、今もチコちゃんに私の用をお願いしているの」
「運転をお願いしたり、ちょっとしたお店のお使いを頼んだり」
「そんなことは構わんが」
「あの子を引っ張りまわした私が悪いのは重々承知しています」
「実は・・あの子仕事止めるから、店で使ってくれって」
「それもね、私に言うと断られるから、マネージャーの窪田に」
「窪田も困っちゃって」
「芳村さんのお許しをもらっているのって聞いたら、まだって言うし」
「話の順番が違うでしょって怒ったら」
「私からもお願いしてもらえないかって」

「チコからは何も聞いていない」最後は妙子の作り話は明らかだった。
「妙子、お前はどうなんだ」
「・・」
「お前の腹はどうなんだ」目を泳がせる妙子を睨みつけた。
妙子は、諦めたように小さな溜息を漏らし、ソファーの上で姿勢を正した。
「チコちゃんにお店を手伝ってもらえれば・・」
「あっ、もちろんお客様のお相手ではなくて、奥のことを」

「妙子、チコは可愛いぞ」妙子ににじり寄った。
「まあ、妙子のおかげで磨きがかかって、感謝してる」
「いえ、そんなこと・・」
「この間、相原から口惜しそうな電話をもらったよ」

「妙子、先週も奥のベッドで、虚ろな目で縛ってくれって」
「チコは縛られると・・身体がピンク色に染まってな」
妙子の瞳が潤みはじめ、ソファーに深く座りなおした私は、わざと妙子の性的興奮を煽った。
「飛び出した乳首を抓ると、辛いと呻いてな、みるみる下着を濡して、せがむ」
「してくれと・・」
「チコの小さな尻を指で無理やりひろげて」
「嫌だって」
「小娘のような声で悶えて」
「愛くるしい・・愛くるしいチコの裸に、年甲斐も無く我慢が出来なくて」
妙子は膝上のスカートの裾を直し、ナプキン代わりに掛けていたハンカチを握り締めた。

「眉間に皺を寄せて、唇を噛んで痛みに耐えて」
「小水まで垂らして」
「妙子、チコの小さなちんちんを扱いてやると」
「真っ赤な顔して痙攣して」
「泣きながら射精するんだ」
「何度も何度も」
「すごい量だ」
「妙子、チコは可愛いぞ」
「芳村さん・・」妙子は掠れた声で唇を舐めた。

「妙子、お前は分かっている」
「チコ目当てのお客がいるんだろ」
「妙子、私との仲だ、正直に話せ」
「ええ、芳村さんの言う通りで・・」
「チコちゃんはあの容姿で、気立てもいい子で」
「それに頭もいい子」神妙さを装い俯く妙子。

「妙子、お前も欲しいんだろ?」
「チコの身体が」
「顔に書いてある」顔を上げ、目を見開いた妙子の身体が固まった。

「なあ妙子、チコはまだガキだが、人を惹き付ける魅力がある」
「だがな、あいつには危険な匂いがする」
「妖しい魅力の先に」
「もちろん本人は気付ていないが」
「・・・」

「妙子」
「店を取るか」
「チコを取るか」
「苦しむことになるぞ」

続く。
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