夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

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ルル 2



三鷹駅からバスに揺られ、指定された児童公園で降りた私は、手袋を外しメールを送信した。
昼間なら幼い子が駆け回り、コートの襟を立て公園の柵に寄りかかる私は、若い母親に不審者扱いされるだろが、9時を廻った今はそんな心配も必要なかった。
つま先が冷え込みだした頃、公園の脇道からダウンを羽織った女性が現れ、その女性と目を合わせることを躊躇った私は、おもむろに携帯を取りだし、画面に目を落とした。

「お待たせしました」
白い息を吐く聞き覚えのある声に顔を上げた。
「ルル?」
口元を隠すように巻いた淡いピンクのストールを緩め、微笑んだルル。髪を栗毛色に変え化粧を施し、スカートを穿いたルルの姿に声も出なかった。


ルルとの特別な出会い、いや、ルルに仕掛けられた出会と言うべきだろうか。ポケットに入れられた小さなメモに好奇心がかられ、出掛けたあの日。警戒心が解けない私の前に現れたルルに見惚れてしまった。ルルの中性的な身体つきと仕草に欲情が煽られ、私の強引な誘いにルルは妖しく頷いた。ベッドの上で苦悶するルルのたおやかな肢体と興奮は、年甲斐もなく私を夢中にさせ、ルルの面接と実技試験にどうにか合格した私は、再会を約束した。

母親と二人住まいのルルは、家から離れた場所に部屋を借りていた。ルルの素性など誰も知らない所に。その部屋で、ルルは日頃押さえ込んでいた本心を解き、願望と性癖を発散させ、心のバランスを取っているようだった。ホテルの部屋では自分の想いを満たすことができないと遠回しに告白したルル。ルルの小さな願いに理解を示した私は、今夜その部屋に招かれたのだった。







ルルのマンションはまるで女の子の部屋のようだった。玄関には小さな鉢植えが飾られ、通されたリビングは綺麗に整頓されていた。私の脱いだコートをルルはハンガーに掛け、チロリアン柄の刺し子のクッションが置かれた真っ白なソファーを私に勧めた。
「女の子の部屋に招待されたようだ」
「落ち着きませんか?」
「いや、ちょっと驚いた」
部屋を見廻す私にくすっと笑ったルルは、自分の姿を見せ付けるように私の前で、ダウンを脱いだ。アイボリーのラウンドネックのニットの小さな胸の膨らみ、膝丈のスカートから真っ直ぐ伸びた脚。ルルの変身ぶりに目を見張った。
「素敵だ」

私の感想に嬉しそうに微笑むルルの手を取り引き寄せ、しな垂れてきた身体に腕を廻し、ルルの柔らかな頬に手を添え、リップで光る唇を奪った。初めこそ躊躇していたルルも、私が手を膝に置くと唇を開き、私は差し入れた舌で震えるルルの舌を掬い、溢れる唾液を啜った。膝に置いていた手を小さなニットの膨らみに添えると、ルルは短い声を上げ身体をびくんとさせ、慣れない女の子のように下着の上からの愛撫をねだった。私はニットの裾から滑り込ませた手の平で滑らかな素肌を撫で上げ、指先に触れたブラジャーの上から張った乳房をそっと愛撫すると、ルルは甘い溜め息を私の口の中に吐いた。
「女の子ようだ・・ルル」
「わたし・・わたしは・・」
ルルは困惑した様子で私の腕に縋った。


自分の本心に悩み、倒錯した想いに振り回されていたのだろう。ルルと関係を持ったのは私だけではないだろう。私も含め、ルルの男好きする容姿と物腰に欲情する者は少なくないはずで、その中には興味本位で関係を迫った輩もいただろう。ルルの想いを叶え、ルルを一般の女性として受け止めた者は、果たして居たのだろうか。
自分の欲望のはけ口として、セックスドールのように扱う。そんな私だって、初めてルルの身体に触れたときは、そう思い、今だってそのことを否定できはしない。

ルルの言葉を信じれば、嬉しい事にこの部屋に呼ばれたのは私だけで、勿論リップサービスかも知れない。
しかし今夜私は、ルルの想いのすべてを叶えてあげることに悦びを見いだすことにしよう。

愛しいルルの悦びに、自分を重ねて。

この秘密のルルのお城の中で・・

ルルの下僕となって・・



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