夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

アル式デトックス 4thプログラム


「女の子になりたい」と子供じみた願いは、初めて同性との性行為を経験し、男に組み敷かれるたびに膨らんでいっていた。男は十七歳のありのままの男子学生の姿を僕に望んでいた。僕は男に馬鹿にされることを怖れ、膨らむ願望を口には出せなかった。男の求める荒っぽい行為で、自分の気持ちを偽っていたが、長く続くことはなかった。

不思議な偶然の重なりが僕と須藤さんを引き合わせた。休日の新宿で、同じ服屋を覗き、同じ本屋で立ち読みし、同じマックでバーガーを食べ、新宿裏の地下にある、同じ性癖が集まる男子専科の下着屋の薄暗い狭い通路ですれ違っても、気にも留めなかったが、さすがに帰りの電車の同じホームに立っていた青年の姿を見つけたときは驚いた。
青年も驚いたように目を丸くし、後退りした僕は、照れ臭そうな笑みを浮かべる青年に声を掛けられた。
清潔感漂う青年の整った目鼻立ちに見惚れ、僕と同じ色を隠し持つ瞳の中に、意識が吸い込まれていくような錯覚を感じた。デートと言うには程遠かったが、遭うたびに青年須藤さんの落ち着いた大人の雰囲気に憧れ、部屋に誘われた僕は黙って頷いていた。


行為の済んだ後も、僕を抱いてくれたのは須藤さんが初めてだった。
須藤さんの腕の中で僕の気持ちは女の子だった。僕はいつも女の子になりたいと願いながら、須藤さんの腕の中にいた。
須藤さんは僕と付き合い始めた時から、それが分かっていたのだと思う。身体の繋がりを求めようとしない須藤さんの本心が知りたくて、自分から求めたあの日、いつもと違う女の子を抱くような、優しさに満ちた抱擁に戸惑う僕の心中を察した須藤さんは、穏やかな眼差しを向け、隠していた僕の願望を言い当てた。
恥ずかしさと嫌われた悲しみを悟られたくなくて、思わず須藤さんの腕を退けた僕は、胸が押し潰されそうに、ぎゅっと抱き締められた。
頭を撫でられ、須藤さんの言葉に唇が震え、溢れる涙が止まらなかった。男の人の前で涙を見せたのは初めてだった。女々しい僕を軽蔑することなく、理解してくれる男の人と巡り合ったことに心が震えた。そして須藤さんは、僕の心の闇の中に手を差し伸べてくれた。



鈍い紅色に実った乳首は吸われるほど、硬さを増していく。じんじんと胸の痺れが、脊髄を下り陰核の芯を震わせ、滴る涎が腿に垂れる。
膝が胸につくほど折り曲げられ、僕の女の子の蕾が露わにされた。
「いや、見ないで・・」
指で開いて奥を覗く須藤さんの熱い視線に顔を背ける。蕾をなぞる指が、男の脳を、夢見る女の脳に変えていく。濡れた唇の接吻で唾液送り込まれ、興奮した須藤さんの溜息に息づく僕の女の蕾。

僕の身体を気遣かってゼリーを垂らした長い指が、ぬるっと、抵抗をなくした蕾に差し込まれる。出たり入ったりするたびに、くちゅくちゅと卑猥な音をさせ蕾が弛んでいく。自分でも説明できないほど、頭の中で湧き出した女の性が、蕩けた溜息を鼻から洩らす。
揃えた二本の指が中で開き、溶けたゼリーの一筋が背中まで垂れる。もう女の歓びを知っている僕の身体は、待ちきれないと須藤さんを求めている。
「もう・・おねがい・・」

期待に上気した身体を抱え上げられ、須藤さんの先端が当てられ、蕾が一瞬、緊張する。僕はしっとりと濡れた夜をのみ込むほど息を吸い、そしてゆっくり吐いた。
蕾は自分でも分かるほど弛んでいるはずなのに、押し開くように入ってきた須藤さんの陰茎は、何時にもまして大きな塊のようだった。身体を貫く重い重量感に僕は顎を上げ、女の子ように喘ぎ乱れ、シーツを握り締めた。
「痛いかい・・」
僕は唇を噛み締め首を激しく横に振る。須藤さんが教えてくれた、肉体的な女の感覚に慣れた淫らな僕の身体。須藤さんの手に指を絡めて強く握る。握り返してくれる手の温もりに、目尻に溜まった涙が頬に伝わる。興奮に粟立つ肌を、宥めるようにゆっくりと撫でてもらい、淫らな幸福感が僕を包む。
須藤さんは、眉を顰めて僕を感じている。もっと感じて、もっと、もっと・・

抉るような突き上げに上ずる身体を引きずり寄せられ、窒息しそうなぐらいに蕾の淵まで一杯に塞がれ、切羽詰まった声を吐いた。
「いや、いや・・そんなにしちゃ、いや・・もう・・」
爛れたように蕩けた粘膜が擦れるたびに、本当に自分が、女になったことを感じる。限りなく高みに昇っていくような感覚の中で、それを感じている。

真っ白に沸騰した頭の中で、やめないでと願いながら、僕は虚しい言葉を放ち、小さな嫉妬にも耐えられないぐらい、僕は切実に須藤さんを求めている。
「須藤さん!」
「あの人より、あの人より、僕のが・・僕のほうが・・って」
「あっ・・ふっ、はぁっ・・はぁ・・須藤さん!」
「いっちゃう!」
女になった甘美な陶酔のうねりに、焦点の合わない目で須藤さんに夢中でしがみ付き、須藤さんを身体の一番奥深くまで吸い込み、ぎゅっと締め付けた。女の肉体が感じる深い絶頂を下腹から胸にまで飛び散らし、溢れてくる幸福な絶叫を口の中に留めることができず、激しい声を上げた。
軋む蕾に須藤さんは腰を打ちつける。強く乳首がつまみあげられ、泣き声を上げ半狂乱した僕は髪を振り乱し、蠕動する女の肉体で須藤さんの上反る陰茎の根本を何度も締め上げる、すぐに須藤さんの射精の衝動を感じ取り、喘いだ須藤さんの身体は僕の上に崩れ落ちた。


微笑む須藤さんの手が伸び、汗で額に張り付いた前髪を分けて潤んだ瞳を覗かれた。
「ありがとう・・大丈夫かい?」
本当は少し苦しさもあったけど、それでも須藤さんを全部を受け止めた女の歓びに、首を何度も横に振った。放心した身体を抱かれ、須藤さんの胸の中で微睡む僕は、好きな詞を思い浮かべた。

もし一枚の絵が千の言葉を描くなら
僕は貴方を描けないだろう
言葉では言い表せない
心に浮かぶ貴方のことは・・・


突然、思い出し笑いした僕は、須藤さんに下村真弓に誘われたことを告げた。
「須藤さんが席を外したとき、下村さんに誘われました。須藤さんの親戚を騙っていたから、その場では断る理由が浮かばなくて・・」
「彼女、学生の時から発展家だったから・・」
「下村さんて、グラマーですね」
須藤さんの過去のことに拗ねていた僕は、気のある素振りをして、須藤さんの本心を探った。
下村真弓の豊満な胸を思い浮かべた僕を見透かした須藤さんは、僕を強く抱き揺すり、嫉妬したように乱暴に唇を奪い、今夜僕が望んでいた言葉を口にしてくれた。

「ヨシ君、私の一番大切な子だ。好きだ」
「須藤さん、好きです、大好き!」
発情した僕の身体に、須藤さんの熱い唇が落ち、僕の手の中で須藤さん想いが膨らんでいった。

夜はまだ、二人だけのもの・・・




アル式デトックス4thプログラム、お役に立てたでしょうか?

すっきりとした朝を迎えられたことと思っております。







おかげ様で記念すべき100本目のお話を書き上げることが出来ました。
今回のお話が、それにふさわしいかどうかは、親愛なる読者の皆様のご判断に委ねるとして、
拙いブログに、5万を超えるアクセスをいただけたことに、深く感謝いたします。

1万アクセスの壁を乗り越える険しく長い道のり。その後に立ちはだかる、さらに高い壁。
何度ブログの更新を放り出したことでしょう。その度に読者の皆様のアクセスと貴重な拍手に励まされ、萎えた気持ちを奮い立たせ、どうにかこうにか今日まで続けることが出来ました。

本当にありがとうございました。



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL短編小説へ
にほんブログ村






スポンサーサイト

コメント

100作品上梓おめでとうございます。

小説を100作。

きっと夜更けにきりきりと胃が痛むようなことも。
構想やプロットもそうだとは思いますが、”文章を書く”というモチベーションが折れそうになることもあるようにも想像致します。
わたしがそうだからですけれど。
あっ、たいしたこと無くて、日記程度ですが。
もう、ALさんの世界?! が形創られているようにわたしには思えます。

これからも・・・
C.チャップリンがいつもインタビューで答えていたように。
「今までの作品の中で一番良いと思う作品は?」
という問いに。
「次回作だ。」
と言っていたように。




  • 2013/10/01(火) 08:33:38 |
  • URL |
  • 夏川綾香 #RlWufvyM
  • [ 編集 ]

夏川綾香 様

有難いお言葉を賜り、感謝いたします。

自己満足ではじめたブログも、欲が出て100話に。
今回で一区切りつける心づもりでしたが、残っていた宿題が気になり
片付ける羽目に陥りました。

偉人の言葉は、愚者に当てはまることはありませんが、
創作の糧を頂いた気持ちです。
ありがとうございます。

  • 2013/10/01(火) 11:46:28 |
  • URL |
  • アル #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://nighttale.blog97.fc2.com/tb.php/100-1330260d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad