夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

チコ 6

新宿の路地裏の喫茶店で、初めてチコと会った。その日すぐに、私と関係を結ぶことを覚悟していたのだろう、ふてくされた態度で、後ろめたい思いを誤魔化していた。少年のような顔立ちと少女のような素肌に惹かれたが、私の流儀で抱く気にはなれなかった。相原には呆れられているが、いつものように難題をふっかけ、私の性癖を理解させ、本気度を試した。私と愚かな交渉を持ちかける輩はいたが、ほとんど連絡をよこす者はいなかった。腕の中で喘ぐチコもその一人だろうと思っていた。縁が無かったと諦めていた矢先、届いた連絡は半信半疑だったが、実際に現れたチコは私の願望をくすぐるものだった。
だがチコは、まだ自分の姿に欲情することはないのは、私には分かっていた。しかしどうだろう、妙子のお節介があったとはいえ、変身を遂げたチコは、素の自分を封印するために、「拘束」を望むが、明らかに自分の姿に情欲の炎を燃やしている。

不自由なチコの身体を仰向けに転がし、足首に絡まる下着を投げ捨て、捩れた性器を握った。つぼみのような幼い性器は手の中でみるみる角度をつけ、包皮を反転させ、充血した亀頭を露出させた。
「妙子が欲しがるわけだ」
「チコ、妙子に見せたのか?」
首を激しく横に振った。
「そうか、まだか・・」
「今度見せてやらないと」
「この可愛いおちんちんを」
「嫌!」
手触りの良いニットを捲り上げ、胸に食い込む、パンティーとお揃いの黒いサテンのブラジャーを緩めた。荒い息で上下する小さな乳首。摘んだ指の間で、すぐに反応し、薄く開いた唇から切ない溜息をもらし、背中を反らせた。

私は汗ばんだ胸元に張り付き妖しく光る、妙子のダイヤの十字架を首から外した。ブランドマークのクラスプの裏に符丁のように「obey」と彫らせたペンダントをチコの鼻先で揺らした。
「チコ、このペンダントは」
「妙子が赤坂の場末に、初めて店を構えたとき」
「首にかけた」
眼を見開き、息を呑むチコ。
「妙子も罪なことをする」

何時になく濃厚な刺激を与え、絶頂への呼び水を溢れさせ、脈打つチコの性器にペンダントの鎖を幾重にも巻きつけ、窒息しそうに変色した亀頭を握り締めた。
「嫌」
「駄目です」
「妙子さんの預かり物」
「大事な御守だって」
「御守だと?」
「笑わせるな!」
「でも、でも」
「汚すわけには」
「眼を開けろ!」
「妙子の御守を」
「お前の精液で・・」
全身を戦慄かせ、戻ることのできない破裂しそうなチコの性器。
「許して」
「逝け!」
十字架を摘んで開いた亀頭の先端に強く押し付けた。
噛み締めた唇からな絶頂の叫びが漏れ、腰を何度も跳ね上げ、噴出した大量の精液でダイヤの輝きが消えた。
「いいぞ、チコ」
「いい子だ」
「チコ、いい子だ」

満足した私は、投げ出したチコの黒いペディキュアが光る足首を交差させ、身体を二つに折り曲げ、上を向いた息づく肛門に性器を充てがった。観念したようにチコは、顎を上げ口を開き、悲鳴混じりの長い息を吐き、私はへこんだ肛門に性器を埋め込んでいった。
髪を振り乱し眉間に皺をよせ、上ずる声を震わせ、痛みに耐える可愛いチコ。
「チコ、痛いか?」
「チコ、苦しいか?」
「よ、よしむらさん・・」
「チコのすべてが」
「あなた・・」
「あなたへの」
「服従です」
「チコ!」
「お前は、お前は!」
「このペンダントのこと」
「知っていたのか!」
「そうかチコ、それなら、妙子と仲良くしてやれ」
「いいなチコ、仲良くだぞ」

チコは同じ定めを背負った、あの頃のうぶな妙子のような悲痛な呻き声を絞り出し、私はチコの身体の奥深くに性器を沈め、隷属の契りに頬が緩んだ。



拙いお話はここまで。お付き合いに感謝いたします。
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チコ 5

アルのアーカイブより。

部屋に入ってきたチコは、私が命じた妙子のことで、動揺しているのは明らかだった。
デスクチェアーに座りなおし、腕組みした私の前で、おどおどした様子で俯いた。
「どうしたチコ」
「何か用か?」
「・・・」
「返事しろ」
チコの身体が一瞬すくみ、肩を震わせた。
「わかりません・・」
「わからない?」
「どうしたらいいのか」
「妙子さんとのこと・・」
「妙子?」
「はい・・」
「寝てやれと言ったはずだ」
「でも、でも」
「芳村さん」
「僕は・・」

自分なりに考えた、世話になった妙子への恩返しをあっさり否定され、さらには、私が命じた屈辱に苛立ちが隠せないチコ。私はチコを睨み付け、「行くも戻るも、お前次第」と無言で威圧し、返答を迫った。愚かな気持ちで踏み込んだ私との関係が、想像以上に重く、辛いことに戸惑う、チコの揺れる気持ちが手に取るように分かった。長い沈黙の末、自分の立場を受け入れたチコは、後悔とも諦めとも違う眼差しを私に向け、小さく頷いた。

私は、ゆっくりとミネラルウォーターを飲み干し、深い溜息を吐いた。「しょうがない奴だ」と、いかにも大袈裟に舌打ちし、立ち上がった私はチコの腕を掴み、バランスを失い身体を泳がせるチコを抱え、仄暗いベッドに押し倒した。シーツの上に崩れたチコの身体を跨ぎ、首に巻かれたマフラーを外した。
「縛られたいか?」
「縛ってください・・」自分の性癖を吐露する濡れた瞳を向け、潤んだ声で答えた。
眼を閉じ羞恥心に上気した横顔。手の甲に触れる紅潮した少女のような頬が、私の加虐趣味を惑わす。力を無くした両腕を背中に廻し、引き抜いたベルトで手首を締め上げ、チコの背中を膝でベッドに押し付け、細いパンツを強引に引き抜いた。欲情を魅了する、黒いガードルの小さな尻。艶めかしい光沢を帯びたパンストの脚。乱暴にガードルごとパンストを膝まで引きずり下ろし、黒いサテンのパンティーに指を掛け、一気に捲った。
「チコ、妙子はお前のこの身体が欲しいと」
「お前だって」
「この尻に」
「妙子の指が欲しいだろ?」見飽きることの無い、真っ白い柔らかな尻臀をわしづかみした。
声にならないチコの悲鳴に、惑乱した私は、引出しから取り出した潤滑ゼリーを垂らした指先を、閉じた肛門に無理やり突き刺し、チコの逃げる腰を押さえ、掻き回した。
「あっ、嫌!」
「チコ、そんなに締め付けると」
「妙子の綺麗に手入れしたネイルが剥がれる」
「駄目、許して」

身体の奥で指を鍵のように曲げ、チコの細い首に腕を廻し抱きすくめ、火照った耳朶に囁いた。
「いいかチコ、お前にその気が無くても」
「あの世界では通用しない」
「おまえ可愛さで連れ歩いている妙子も、商売になると分かれば、お前を見る目も変わる」
「だがチコ、やり手の妙子も女」
「女を忘れられなかった」
「若い恋人も欲しい、商売もしたい」
「水商売が長い妙子は痛いほど分かっている」
「恋人を店に立たせるなんて、出来ないことは・・」
「だがな、チコ、苦しむ妙子を見るのも、いいかもしれんぞ」
「そうだろ?」


続く。

チコ 4

アルのアーカイブより。

「住み込みに使えと言ったら、年寄りには無理だと断られた」
「ホテルの洗車員に乗らないと駄目だと脅かされてな」
「チコ、こんなクルマは嫌か」
「いえ・・」
「僕に運転できるか」
「心配するな」
「運転が下手糞な米国人のクルマだ」
「チコ、今夜は遠回りしろ」
私は先に低いシートに身体を潜らせた。小ぶりの尻に食い込むようなスリムなセンターブレスのパンツに黒のハイゲージニットを細い身体に合わせ、長いマフラーを緩く巻いて妙子のクロスのペンダントを隠していた。女だか男だか分からないようなスタイル。チコはいつの間にか私の好みを理解していた。
不慣れな運転に揺れたクルマも深夜の湾岸線の看板を越えた頃から落ち着き、チコは何気ない口調を装い、言い難い用件を切り出した。

「芳村さん」
「妙子さんのお手伝いが出来ないかと」
「手伝い?」
「はい」
「妙子の何を手伝う」
「妙子さんのお店の・・」
「妙子さんには言いづらくて」
「窪田さんにお願いしましたが・・相手にしてくれませんでした」

「チコ、妙子の店で何が出来る?」
「えっ?」
「もう一度聞く」
「お前は店で何が出来るんだ」
「・・・」
「自惚れるな!」
神経質なクルマが左右に揺れ、脅えたチコは小さなステアリングを握りなおした。

「窪田は言われなくても分かっているが」
「妙子はお前の素性を店の者に話したりはしない。だから店の者は、お前をどう扱っていいのか」
「耳障りのいいことを店の者に言われ」
「お前は、それを認められたと」
「勘違いしている」

「チコ」
「妙子は利口だ」
「お前に興味を持つ上客が何人かいることを知って」
「用を言いつけては、店に顔を出させる」
「今夜のような、暇な週明けを選んで」
「でも、世話になっている妙子さんに・・」
「寝てやれ」
「妙子はお前が欲しいと」
「・・・」
動揺を隠すように踏み込んだアクセルに、重心を下げたクルマは道路に張り付き、唸りを上げたエンジン音は、チコの心の叫びのように聞こえた。

真夜中の地下駐車場のエレベータホールのエントランスの前にクルマを止めさせ、有りもしない予定を気にしたように腕時計を一瞥した私は、明らかに憔悴するチコを残し、重いドアを開いた。
「クルマは、お前に任せておく」
「好きにしろ」
「わかりました・・」チコは諦めたように、私に顔を向けることもなく頷いた。
乗り込んだエレベーターのドアが閉まるやアイドリングの音が、野太い排気音に変わった。


ジャケットを脱ぎ、コップに注いだミネラルオォーターを置いたデスクの上で、携帯が小さな音で震え光った。私の携帯番号を知る数少ない者。
「・・・」
「・・チコです」
「お仕事のお邪魔でなければ、伺ってもいいですか」


続く。

チコ 3

アルのアーカイブより。

折り入って話があると掛かってきた妙子からの電話、何時になく妙子の神妙な言い回しに、
いい話ではないことは察しがついたが、部屋を移ったこともあり、新しい部屋の番号を教えた。

「まあ、素敵なお部屋」
「同じ景色も見飽きた」
妙子はスカーフを緩め、夕暮れに染まる東京の街に足を止めた。
「妙子、ホテル住まいは楽だぞ。気を使うこともない、何でもある」
「芳村さん、浜田山のお宅は?」
「住み込みの夫婦に任せた」
「ソファーは気に入らなくて入れ替えさせた」
「好きなとこに掛けてくれ」
「お茶を運ばせる」

仕立ての良い派手過ぎないテーラーメイドのスーツを着こなし、誂えた上品なクロコのハンドバッグ。
客当りを考え、敢えてブランド物を避ける妙子の計算尽くの身だしなみが、上客に可愛がられる所以だろう。
「妙子、無い袖は振れんぞ」
「もう、芳村さんたら、おかげ様で」
「実は今日お邪魔したのは・・」
ティーカップをそっと置き、言い難そうに口を開いた。

「チコちゃんのこと」
「チコ?」
「ええ・・」
「芳村さんが承知してくださって、今もチコちゃんに私の用をお願いしているの」
「運転をお願いしたり、ちょっとしたお店のお使いを頼んだり」
「そんなことは構わんが」
「あの子を引っ張りまわした私が悪いのは重々承知しています」
「実は・・あの子仕事止めるから、店で使ってくれって」
「それもね、私に言うと断られるから、マネージャーの窪田に」
「窪田も困っちゃって」
「芳村さんのお許しをもらっているのって聞いたら、まだって言うし」
「話の順番が違うでしょって怒ったら」
「私からもお願いしてもらえないかって」

「チコからは何も聞いていない」最後は妙子の作り話は明らかだった。
「妙子、お前はどうなんだ」
「・・」
「お前の腹はどうなんだ」目を泳がせる妙子を睨みつけた。
妙子は、諦めたように小さな溜息を漏らし、ソファーの上で姿勢を正した。
「チコちゃんにお店を手伝ってもらえれば・・」
「あっ、もちろんお客様のお相手ではなくて、奥のことを」

「妙子、チコは可愛いぞ」妙子ににじり寄った。
「まあ、妙子のおかげで磨きがかかって、感謝してる」
「いえ、そんなこと・・」
「この間、相原から口惜しそうな電話をもらったよ」

「妙子、先週も奥のベッドで、虚ろな目で縛ってくれって」
「チコは縛られると・・身体がピンク色に染まってな」
妙子の瞳が潤みはじめ、ソファーに深く座りなおした私は、わざと妙子の性的興奮を煽った。
「飛び出した乳首を抓ると、辛いと呻いてな、みるみる下着を濡して、せがむ」
「してくれと・・」
「チコの小さな尻を指で無理やりひろげて」
「嫌だって」
「小娘のような声で悶えて」
「愛くるしい・・愛くるしいチコの裸に、年甲斐も無く我慢が出来なくて」
妙子は膝上のスカートの裾を直し、ナプキン代わりに掛けていたハンカチを握り締めた。

「眉間に皺を寄せて、唇を噛んで痛みに耐えて」
「小水まで垂らして」
「妙子、チコの小さなちんちんを扱いてやると」
「真っ赤な顔して痙攣して」
「泣きながら射精するんだ」
「何度も何度も」
「すごい量だ」
「妙子、チコは可愛いぞ」
「芳村さん・・」妙子は掠れた声で唇を舐めた。

「妙子、お前は分かっている」
「チコ目当てのお客がいるんだろ」
「妙子、私との仲だ、正直に話せ」
「ええ、芳村さんの言う通りで・・」
「チコちゃんはあの容姿で、気立てもいい子で」
「それに頭もいい子」神妙さを装い俯く妙子。

「妙子、お前も欲しいんだろ?」
「チコの身体が」
「顔に書いてある」顔を上げ、目を見開いた妙子の身体が固まった。

「なあ妙子、チコはまだガキだが、人を惹き付ける魅力がある」
「だがな、あいつには危険な匂いがする」
「妖しい魅力の先に」
「もちろん本人は気付ていないが」
「・・・」

「妙子」
「店を取るか」
「チコを取るか」
「苦しむことになるぞ」

続く。

冴えない連休の夜に


冴えない連休の夜に、何時ものように前触れも無く、遊びに来たユキと、二人並んでソファに沈み込み、慣れないお酒を舐め、酔ったふりして戯れ合った。
ユキの春色のシャツの上から、胸に触れると、頬を赤く染めたユキは一瞬、驚いた顔して僕を見詰め、僕の膝に優しく手を置き、目を閉じた。

冗談、冗談と笑って、誤魔化そうとしたのに、思ってもいなかった反応をしたユキ。
中性的な雰囲気のユキに惹かれていた。いや、好きだった。
ユキと知り合って、すぐにその自覚はあったけれど、ユキをこんなにも好きだとは、思ってもいなかった。

指先に少し力を込めると、「うっ」と声を詰らせ、びくんと身体を震わせたユキが、とても可愛くて目が眩みそうだ。
シャツにユキの乳首の輪郭が浮き上がり、抑えのようのない発情が、身体の奥から湧き上がった。
心臓が破裂しそうな緊張、それを上回る欲望。
ああ、欲しい、ユキが欲しい。

「ち、ちょっと待って」
僕の手をやんわりと掴んで、ユキは含羞みながら小さな声で言った。
「ユキ、駄目?」
「駄目って・・僕、初めてだし・・」
「僕もないさ」 


閉じた唇を啄ばむと、ユキは息苦しそうな呻き声を上げ、唇を開き、その隙間からそっと舌を差し入れると、力を無くした舌を僕にあずけた。
シャツを少し乱暴に脱がせ、僕も急いで服を脱ぐと、もう後戻りできないと、自分に言い訳するように、丸めて部屋の隅に放り投げた。
滑らかなユキの素肌が吸いつき、今まで知らなかったユキの肌合いと体温が、僕を益々夢中にさせた。
尖った乳首が僕の胸に食い込み、二人の早い鼓動が共鳴し、抱き合ったままベッドに倒れこんだ。

ユキの両脚に膝を入れ、股間に太股を押し付けると、ジーンズの奥で膨らむ、ユキの興奮が身体の芯まで伝わった。
太腿を股間に押し当てたまま、舌を絡め合い、溢れる唾液を音を立てて啜りあう。
ユキの柔らかな、わき腹から手を滑らせ、思い切ってジーンズのウエストの隙間から、手を差し込んだ。

ユキの盛り上がった下着が生温かく濡れていた。ぞくっと鳥肌が立ち、つられて僕も濡れてくるのが分かった。
僕も同じだと、ユキの手を股間に導いた。
安心したような溜息を吐いたユキ。
その瞬間から、友情を情愛に換えた僕達は、ジーンズを脱ぐのももどかしく、生まれたままの姿になると、恐る恐る、指を股間に伸ばし、熱い性器を握り合った。

「きもちいい・・」

「ああ、僕も」

初めて他人に引き寄せられた快感は強烈で、翻弄される身体をきつく抱き締め合い、滾る欲情で破裂しそうなお互いの性器を擦り合わせた。
陰毛までも濡らした性器が淫靡な音を上げ、ユキは迫る絶頂に息を荒げ、もう我慢できないと、揺する腰を押し付け、密着させた下腹に絶頂を噴き出した。
その熱く蕩ける触媒に僕の性器は激しく爆発し、すさまじい絶頂を共有した。

そして、興奮が収まらない僕達は、明かりを消した狭いバスタブで縒れた身体を絡ませ、口の中で勃起した性器の柔らかさに二人で驚き、萎えることのない愛情と、滴る悦びを確かめ合い、湯船に真っ白い花びらを散らせた。




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