夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

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三次会

「そういえば佐々木、家に来たことあったよね?」
バスローブを羽織った吉井が、何かを思い出したように言った。
「えっ?」吉井は覚えていた。昔、留守の吉井の家に上がったことを。
きっと吉井はあれを僕に見せたことも、覚えているに違いなかった。
「そうだっけ・・」
動揺する僕の顔を覗き込む吉井を誤魔化すように、グラスに注いだビールを飲み干した。

中一の学校帰りに、誰もいない吉井の家に上がり見せられた、吉井の母が箪笥の奥に
隠していた秘密の写真。
茶封筒から取り出した白黒のヌード写真に混ざり、女性の下着姿で科をつくる、細い美男子の写真。
一番のお気に入りだと言って、吉井は僕に手渡した。
「シスターボーイって言うんだって。男なのに女みたいで」
今でも忘れられない、その妖艶な男の姿に、僕は強く惹かれたが、わざと興味が無いことを装い、
吉井は僕の反応の鈍さに、さっさと仕舞ったような気がする。
今思うと、吉井は相当な、おませな子だった。

「佐々木、ママのエロ写真、覚えてるよね、あの時、佐々木すごく興奮してたの、知ってたよ」
「私、佐々木は、ああいう格好がしてみたいんだなって、すぐに分かった」
「佐々木、今でも、そうなんでしょ?」
隠していた性癖を見抜かれた僕は、下唇を噛み締め小さく頷くのが、精一杯だった。
勝ち誇ったような長い溜息を吐いた吉井は、自分の穿いていたショーツを僕に投げつけ、
穿くように顎で催促した。

今夜は、とんでもない、いや、最高の同窓会の三次会になった。


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チコ 2

アルのアーカイブより。 ※チコ 1 の続きです。こちらからお読みいただけます。 R20


拝啓 清秋の候、皆様にはますます御清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
このたび、かねてより計画中でございました店舗改装が整い、本月20日より開店の
運びとなりました。
これもひとえに皆々様の御支援の賜物と心から感謝いたしております。
なにとぞ一層の御愛顧を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
まずはとりあえず書中をもって御挨拶申し上げます。
                                   敬具
                       
                                    ラウンジ・ベラミ
                                        西野妙子
   芳村さん必ず来てね。必ずよ。

添え書きされた妙子から届いた案内状。不義理するわけにはいかず、私は遅い時間に妙子の店に出掛けた。


「芳村さん、よくいらっしゃいました」
満面の妙子の営業スマイル。艶やかな和服姿の出迎え、綺麗に揃えた襟足で男をくすぐる。
「素敵なお花ありがとうございます」
賑やかな店内に、顔を揃えた上客。案内された奥のリザーブ席に腰を下ろした。
「妙子、前と変わらないな」
「ずいぶんなご挨拶だこと」
妙子の人知れぬ頑張りを私は褒め、二人で乾杯した。

「芳村さん、今夜だけヘルプをお願いした娘、呼んでもいいかしら?」
「構わん」
妙子がボーイに呼ばせた女の子がテーブルの前に立った。
「チコ・・」
「ヘルプのチコちゃん」
「芳村さんにご挨拶したら」妙子は悪戯っぽく笑った。
「チコです」
髪を栗毛色に変え、薄化粧を施した見違えたチコの容姿。私の脇にそっと腰を下ろし、斜めに揃えた膝に手を重ねた。
「妙子、私が、おふざけが嫌いなのは・・」
「十分に承知しています」妙子は私の膝に手を置いて、にじり寄り耳元で囁いた。
「ですから、今夜はお帰りくださいませ」
「チコちゃんに送らせます」


「芳村さん」
一階まで見送りに出た妙子に腕を掴まれ引き止められた。
「チコちゃんは」
「壊さないで」何時になく真剣な妙子の眼差し。
「妙子、世話掛けた」

胸元をフリルで飾った黒いサテンのブラウスにバギーパンツを合わせたチコ。
「そのスタイルは自分で決めたのか?」
「ええ・・本当は妙子さんに揃えていただきました。お店の雰囲気を壊さないように、僕は気をつけただけです」
落ち着いた様子でステアリング握る、淡い色のマニュキアを塗ったチコの細い指。
「運転、慣れたな」
「しばらく妙子さんの運転手をしていました」
そうゆうことかと、合点した私はチコに命じた。
「チコ、飛ばせ」

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チコ 1

アルのアーカイブより。手垢の付いた古いお話ですが、加筆、編集いたしました。
相変わらずの酷い文章ですが、お付き合い、いただければ嬉しい限りです。R20



新宿の雑踏の中、その子は不安そうな顔付きで約束のデパートのウインドの隅に立っていた。小柄で華奢な体型。私は道路の向かい側からしばらくその子の様子を見ていた。
飲食店を何軒か経営し、私のような者に、同じ嗜好の子との仲を取り持つ相原から、以前に紹介された子は、なかなか現れない待ち人に、通行人の好奇な視線を気にすることもなく、ポケットからコンパクトを取り出し化粧を直しはじめた。私は、その羞恥心の無い行動に嫌気が差し、声も掛けず立ち去った。
すぐに、相原から怒りの連絡があったが、「気に入らない」と一言告げ、電話を切った。

どうしたものか、半年も音信不通だった相原から先週末連絡があり、私は長い付き合いの、相原の強っての頼みを断りきれず、仕方なく新宿に出掛けた。信号が青に変わり、私はその子の前に立った。
「君が相原の・・」
その子の顔に緊張が走った。
「待たせたかな?」
「いいえ、今、来たばかりです」
可愛いい嘘に、私はその子を路地裏の喫茶店に誘った。テーブルを挟み向かい合い、無言で俯くその子に私は口を開いた。
「こうゆう事は初めてか?」
頭を小さく縦に振った。
「顔を上げろ」
驚いたように眼を見開き、その子は姿勢を正した。少年のような顔立ちと少女のような素肌。相原は、やっと私の好みを理解したようだった。
「人の話は顔を上げて聞け」
「はい」
「学生か?」
「いえ、違います。僕は・・」
「お前の仕事に興味は無い」言葉を遮った。

「モデルのチコを知っているか?」
「・・・」
「知りません」
「ネットで調べろ」
「分かったらチコのような髪型にしろ。その眉毛も。それ以上のことは許さない」
「いいか?」
「わかりました」
「自分で納得出来たらメールしろ。嫌なら連絡は要らない。相原に伝えろ」
「私は薄汚いジーンズは嫌いだ。わかったな」
脅えきった表情のその子を睨みつけ、私は伝票を掴み席を立った。


(やっと納得が出来るようになりました)
あれからちょうど2ヵ月後、その子からメールが届いた。私はその子に、もう一つ宿題を与え、待ち合わせの日時を返信した。
前回の待ち合わせ場所と同じデパートの玄関に、その子は私の言いつけ通りに、髪型を斜めに分けたショートボブに変え、胸元を開けた仕立ての良い白いシャツに細い黒いパンツと、清楚な身なりで現れた。満足した私は、緊張して、昨日から何も食べていないと照れたその子を、上の階のイタリアンレストランに誘った。
昼下がりのレストランは買い物を終えた女性客で埋まり、私たちは一人で食事する派手な中年女の隣の席に腰を下ろした。女はその子に興味が惹かれたらしく、その子を横目で追うのを私は見逃さなかった。私はビールを頼み、その子は遠慮がちにマルゲリータを選び、アルコールは、すぐに顔が赤くなるからとアイスティーを頼んだ。

「いかがでしょうか?」
「気に入った」私は湧きあがる欲望を押さえ、素っ気無く応えた。眉毛を細く整えたその子の顔が華やいだ。
「チコのようになれといわれても・・」
「でもお前は理解した」
「髪は伸ばせなくて、ウィッグを買いました」
「散財させて悪かった」
「いえ、何だか生まれ変わったようで」
「嬉しいか」
「ええ」
その子の細く長い指。品良く食事するその子の仕草に、私の加虐趣味に火が点いた。

「セックスしたことあるか?」私は隣の女にも聞こえるように言った。
食事の手が止まった。その子も隣の女も。
「・・ありません」俯き呟いた。
「キスは?」恥ずかしそうに顔を横に振った。
「もう一つの宿題を見せてもらおうか」
「ここで!」驚きと羞恥に、みるみる顔を赤らめるその子。
「嫌か?」
「だって・・」
「嫌なら私は帰るが」私はゆっくりとのグラスに残ったビールを飲み干した。

何度も躊躇した挙句、その子は諦めたように、そっと椅子を後ろにずらし前屈みになり、ナプキンで股間を隠しながらベルトを緩め、パンツのファスナーを下ろす音が聞こえた。
「見せろ」
その子は周りを気にしながら、震える手でナプキンをテーブルの上に置き、パンツを左右に開き、シャツの裾をたくし上げ、股間を彩る黒いレースの下着を露にした。
唇をかみ締め顔を反らし、激しい羞恥心に肩を震わせるその子。
「チコが穿くような下着が良くわかったな」
「隣のご婦人も見たがっているぞ」
女は私を睨みつけた。
「駐車場で待っている」
私はその子をテーブルに残し席を立った。


慌てた様子で駐車場を走り回り、私のクルマを探すその子にパッシングで合図した。
ドアに縋り付いてきたその子に私は窓を少し下げた。
「運転できるか?」
「出来ますが・・」
「僕、左ハンドル運転したこと無いです」
「ぐずぐず言うな、乗れ」
私は運転席に腰を下ろしたその子の身体を乱暴に引き寄せた。
よほど恥ずかしかったのだろう、火照る頬を両手で押さえ、震えが止まらない唇を奪った。
荒い息が甘い息に変わり、私は唇を離した。
「恥ずかしくて、逃げてきました」
「あの女、何か言っただろ」
「電話番号のメモを渡されました」
「どうした」
「ウエートレスの女の子に渡してきました。デートしたいって」
私は声を上げて笑った。
「いい子だ」私はその子の肩を抱き締め、頭を撫で、涙ぐむその子をなだめた。
「お前は今日からチコだ」
「チコ、クルマを出せ」

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“アニバーサリー” ブログ開設一周年に

男が言うように確かに僕の心の中には、女の子になってみたい気持ちが隠れていたのかもしれない。性感の高まりに目覚めた頃から、自問、苦悶する自分を、想像する女の子の肢体に置き換えては切ない呻き声を上げ、密かな性癖を満足させていた。
そんな僕の捩れた性癖を理解してくれた男に甘えたくて、男の非情な言いつけに従い、限界を越える羞恥心に耐えては、心と身体の慰めをねだった。

知り合って一年が過ぎた記念日に渡された女の子の洋服に心を奪われ、鏡に映る自分の姿に異常な興奮で慄き、それを静かに見詰める男に不思議な悦びを覚えた。
同性の性器に唇を付けたことなどもちろんない。でも、今は、そのことは当たり前のような気がしている。震える舌を伸ばし硬い陰茎をなぞり、目を瞑って熱い亀頭をしゃぶった。口の中で溢れる唾液と男の体液を啜り、まるで自分の性器を愛されているような感覚に、下着の中で生温いものが滴るのがわかった。信じられないくらい身体が熱くなり、僕の揺れていた心は決まった。

女の子のような仕草で男をベッドに誘い、身体を預けた。愛撫と言うには辛い、男の指使いで、緊張と恐怖で硬くした身体をほぐされ、背中から男に抱かれた。男の興奮をどうにか受け入れ、激しい痛みと引き換えに得た、深い繋がりが忘れられない。男の絶頂が身体の奥に刻まれ、自分の性別が曖昧になっていくことに抵抗はなかった。それよりも分解してしまいそうな僕を、優しく包み込んでくれる男の暖かさに、涙がこぼれた。人を好きになり、人を愛するとは、こうゆうことなのだろうか。男の手を握り締め、不安を乗り越えた安堵、欲望を満たしてくれるすべてが。どうか、この男の存在がいつまでも、僕の傍にありますように。




惜桜

何となく付き合うようになって、初めて二人揃っての休日。公園の花見の屋台で少しだけお酒を飲んで、ほんのり桜色になったヒロは、屈託ない、無邪気な子供のような笑顔を向けた。その愛らしい笑顔に頷いた僕は、ヒロをベッドに引っ張り込んだ。唇を咬み、舌を絡め合い、しな垂れてきたヒロの身体を受け止める。
火照る身体を組み敷いて、シャーベット色のニットから、はだけた胸に唇を付け、ヒロは短い悲鳴を上げ小さな乳首を堅くさせる。ショートパンツの股間に手を這わせる。ヒロの性器は触る前から熱く、僕を夢中にさせる。パンストから透ける艶やかな下着に見惚れ、思わず手が止まった。
ヒロの性器に顔を伏せ、舌を伸ばし、つるんとした亀頭に触れた。ヒロは身体をびくんとさせ、僕の髪にすがりつく。みるみる充血する陰茎に吸い付き、音を立てて啜る。僕の愛撫に応えるように、甘い喘ぎを洩らし、シーツの上で身体をくねらせ、蕩けるような表情を浮かべるヒロ。花開いたヒロの欲情、官能をくすぐる匂い、目が眩むほど、僕はヒロに惚れていることを思い知らされる。
唾液で濡らした指を、そっとヒロの肛門に伸ばした。
「あっ」
ヒロは身体を強張らせ、僕の腕にしがみついた。
「だめ、そこだめ、すぐいっちゃう」
「いって、いっぱい、いって。僕に見せて」
「ああ! もういく・・」
手の平から全身に伝わる、満開を迎えるヒロの快楽。息を荒げ、胸を大きく反らせ、絶頂の花びらを舞い散らせた。きつく瞑った瞳、上気した頬、握り合った手、息苦しいほどの愛おしさが込み上げ、もう僕はそれだけで達してしまいそうだった。




桜 二題


「お花見がしたい」
僕の願いを聞き入れ、公園の脇道にクルマを寄せて、男は諦めたようにエンジンを切った。すでにぼんぼりの明りは消え、道に張り出した満開の桜の隙間から、少し痩せた月の青白い明かりがウインドガラスに差し込み、時計を気にする男の影が揺れた。

昨年の今頃、男の素振りと優しさに惹かれ、艶やかな桜の色と香りに酔い、二人だけの秘密を共有した。打ち込まれた男の楔に馴染んだ身体は、男の愛を疑うことはなかったが、妻の妊娠を別れの口実にし、最後の晩にも身体を求める無神経な男の本性が許せなかった。

「さよなら」
僕は男に分からないように左のピアスを外し、シートとドアの隙間にそっと転がし、ドアを閉めた。







「花見をしていこう」
公園の脇道にクルマを寄せて、僕は静にエンジンを切った。野太い排気音が消え、人通りの無い街を抜ける春風に枝の揺れる音が聞こえた。すでにぼんぼりの明りは消え、少し痩せた月の青白い明かりが、大きく傾斜したウインドガラスに差し込み、男はシートベルトを緩めると道に張り出した満開の桜を見上げた。

昨年の今頃、ある人から男を紹介され、男が出した難題をどうにかクリアした僕は、男との連絡を許された。しかし,自分の立場を忘れ、思い付きと愚かな考えを巡らせた僕を、男はすげなく撥ね付けたが、男の度量の広さに関係が終わることは無かった。

「もういい。チコ出せ」
「桜もいいが、今夜のお前には敵わない」
シートに深く座りなおした男の横顔に僕は胸を熱くさせ、エンジンをスタートさせた。



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