夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

ルル 2



三鷹駅からバスに揺られ、指定された児童公園で降りた私は、手袋を外しメールを送信した。
昼間なら幼い子が駆け回り、コートの襟を立て公園の柵に寄りかかる私は、若い母親に不審者扱いされるだろが、9時を廻った今はそんな心配も必要なかった。
つま先が冷え込みだした頃、公園の脇道からダウンを羽織った女性が現れ、その女性と目を合わせることを躊躇った私は、おもむろに携帯を取りだし、画面に目を落とした。

「お待たせしました」
白い息を吐く聞き覚えのある声に顔を上げた。
「ルル?」
口元を隠すように巻いた淡いピンクのストールを緩め、微笑んだルル。髪を栗毛色に変え化粧を施し、スカートを穿いたルルの姿に声も出なかった。


ルルとの特別な出会い、いや、ルルに仕掛けられた出会と言うべきだろうか。ポケットに入れられた小さなメモに好奇心がかられ、出掛けたあの日。警戒心が解けない私の前に現れたルルに見惚れてしまった。ルルの中性的な身体つきと仕草に欲情が煽られ、私の強引な誘いにルルは妖しく頷いた。ベッドの上で苦悶するルルのたおやかな肢体と興奮は、年甲斐もなく私を夢中にさせ、ルルの面接と実技試験にどうにか合格した私は、再会を約束した。

母親と二人住まいのルルは、家から離れた場所に部屋を借りていた。ルルの素性など誰も知らない所に。その部屋で、ルルは日頃押さえ込んでいた本心を解き、願望と性癖を発散させ、心のバランスを取っているようだった。ホテルの部屋では自分の想いを満たすことができないと遠回しに告白したルル。ルルの小さな願いに理解を示した私は、今夜その部屋に招かれたのだった。




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林アサコ 「海鞘」ホヤ


寒さ厳しい毎日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この連休、友人との長電話で教えてもらった、林アサコ氏のアート。
読者の皆様は、とっくにご存知なんだろうと思いますが、アートにも全くの門外漢の私は
失礼ながら、お名前すら知りませんでした。

今回、はじめてネットで氏の作品を拝見して、私の錆びついた官能を刺激する素晴らしさに
感激して、ブログでご紹介させて頂こうと思います。


WebマガジンVOBOに昨年末より、連載を開始された
【林アサコのいきいきサイエンス 水辺の生き物その1】「海鞘」ホヤより。


※著作権の関係があると思いますので、ご興味のある方は下のリンクよりご覧下さい。


【林アサコのいきいきサイエンス 水辺の生き物その1】

夜のお伽噺 三夜

読者の皆様におかれましては、穏やかな新年をお迎えになったことと思っております。
新年にふさわしいお話でもと考え、オメデタイ?二人のお話を書き上げました。わたくしアルが、数年前T’s Loveで「夜のお伽噺」と銘打って、初めて書いたお話の続きでございます。今回改めて、前の二話を読み返しましたが、全くの進歩の無さに呆れております。昨年末、「まっとうなお話を書く」と読者の皆様に誓ったわたくしですが、早々にその誓いを破ることを、どうかお許しください。

もちろん、「夜のお伽噺 三夜」だけお読み頂いても結構ですが、初めてのお方はお手数ですが、
下のリンクから「夜のお伽噺 一夜」「二夜」とお付き合いいただければ幸いです。

FC2小説「夜のお伽噺 一夜」

FC2小説「夜のお伽噺 二夜」



夜のお伽噺 三夜


店のオーナの思いつきで開いたカウントダウンパーティーだったが、予想外の来店客に手を休める暇もなく、さらにはジルベスタを真似た余興に私まで引っ張り出され、「蛍の光を」演奏させられた。ヘルプで頼んだバイト君は、いつの間にか彼女と初詣に繰り出し、一美も仲間と出掛けたのだろうか、早々に居なくなり、残った私は独り後片付けに追われた。

時計の針が午前3時を回り、片付けが一息付いた頃を見計らうように看板を仕舞ったドアが開き、寒そうに肩をすくめた一美が入ってきた。
「よかった。やっぱり先生まだ居た」
「どうした一美、みんなと出掛けたんじゃあなかったのか?」
「ううん。急いで帰ってお粧ししてきた」
薄化粧した一美はショルダーバッグをカウンターに置くと首に巻いた長いストールを外しコートを脱ぎ、遅くなったクリスマスプレゼントだと詫びて今夜渡した、ブルーのオフタートルの起毛のニットを照れ臭そうに私の前で披露した。

「どうかな?」
両手を腰に当て、モデルのようなポーズを作る一美。
「先生、どうよ?」
「可愛い。良く似あっている」
一美は照れ臭さそうに笑みを浮かべ、ほっとした様子でスツールに腰を下ろした。
「気に入ってくれたかな?」
「僕さ、もうセーラー服は卒業して、フェミニンな格好しようと決めていた矢先だったから」
「とっても嬉しい」
「お正月は時間が取れないから、すぐに着替えて見せに来た」
「まさか、先生からお洋服をプレゼントされるとは思ってもいなかったよ」
「今夜の予定が狂っちゃたぜ」
一美は照れ隠しのように可愛い悪態を付いた。

「お正月明けに先生と二人でさ、乾杯しようとおもっていたんだけど」
一美はバッグからシャンパンを取り出した。
「一美、モエじゃあないか。奮発したな」
「お世話になったお返し。それと、今年もよろしくって」
私は細いシャンパングラスをカウンターに置き、静に栓を抜いた。
「先生、隣においでよ」
前掛けを外した私は一美の隣に腰掛け、小さな気泡が立つ黄金色のグラスを掲げ、一美と乾杯した。

「先生・・」
「キスして・・」
「一美・・お前・・」
どちらとも無くお互いの捩れた性癖を告白し合い、変態行為を繰り返していたが、キスなどねだったことは一度も無かった一美が、今夜に限って余りの悄らしい変容振りに私は驚いた。
「男同士でキスするなんてキモイと思っていたけれど」
「今夜は先生にキスしてもらいたい気分」
「一美・・」
目を閉じ、唇を突き出した一美の頬に手を当て、グロスで光る唇に軽く唇を当てた。
「もう、先生。もっと僕を夢中にさせてよ」
薄く開いた一美の唇を塞ぎ、差し入れた舌で一美の舌を掬った。
私の口の中に一美の甘い吐息が注がれ、今度は一美がゆっくりと唇を外した。
「なんだか、ゾクゾクしちゃう」
はにかんで頬を赤らめる一美が可愛かった。


「先生、一美のやらしいパンチュ見たい?」
「なんだ、下着まで着替えてきたのか?」
「だって・・」
「アソコが透けてお尻が紐の。すっごくエッチなの買ったの」
「それとね・・」
思惑ありげな一美はグラスに眼を落とした。
「何かな?」
「恥ずかしくて言えない」
「言ってみろよ」
一美のグレーのヘリンボーンの太腿を撫でた。
「いやん、先生、感じちゃう」
「一美、何を買ったのか言ってごらん。驚かないから」
正直、私はこの変態娘が下着と一緒に何を買ったのか興味津々だった。
俯く一美は諦めたように頷き、口を開いた。
「今年は、辰年でしょ」
「ああ、辰年だ」
「だから・・」
「だから?」
「ドラゴンボール・・」
顔を上げ、恥ずかしそうに呟いた一美の一言が理解できなかった。
「ドラゴン・・ボール?」
一美はバッグからエンジのビロードの巾着袋を取り出し、口を開くと金色の玉をカウンターに広げたハンカチの上に並べた。

「ドラゴンボールって、七つ揃うと願い事が叶うんだって」
「ふーん」
「一美、四つしかないじゃないか」
「・・・」
「あとの三個はどうした?」
下腹を擦った一美。
「一美の女の子の中・・」
「えっ、何!」
「一美ね、お部屋で三個まで自分で挿れてきたんだけれど・・」
「あと四つ先生に挿れてもらおうと思って・・」
「・・・」
「ねえ、いいでしょ?」
すでに変態のスイッチが入った一美は上目づかいに私を見詰め、握った私の腕を振った。
妖しい眼差しは本気だった。
「呆れた奴だ。やっぱり一美は変態だ」




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