夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

来年も・・・

男の胸のボタンを外し、はだけた厚い胸に抱きついた。
絡めた脚に男の股間が当たり、僕はズボンのウエストから手を差し入れ、
ブリーフの膨らみに置いた。濡れていた。

僕は我慢できなくなって、男の許しも得ずに、ブリーフの中に手をもぐらせた。
男の性器は熱く大きく、僕の手の平には納まらなかった。僕はそっと指を絡め、
躊躇しながら、ゆっくりと上下させると、脈打つ性器から垂れる蜜の重さに、うっとりしてしまった。

「今夜だけでいいから・・」
「僕のこと好きになってくれますか?」
「今夜だけでいいのかな?」
「・・・」
「本当は・・」
「来年も・・」

僕の願いに小さく頷いた男は、僕の上気した頬を優しく撫で、唇を塞いだ。





毎回、拙いお話にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
パソコン音痴の私が、無謀にもブログを立ち上げたのが今年の4月。
それから、多くの読者の皆様に支えていただき、今年最後のお話をアップすることが
できました。感謝いたします。
来年は、まともなお話が書ければと、思っております。
どうぞ来年もご笑読のほど、よろしくお願いいたします。

アル

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懺悔

どうしてそうなったのか、今でも分からない。
想像したことさえなかったけれど、抑えようのない誘惑と衝動にのみ込まれたような気がした。同性と関係したのは初めてだった。その子の巧みな指使いと柔らかな唇に惑わされる身体は正直で、引き寄せられた快感を漏らした溜息でその子に白状した。羞恥心を上回る快楽の渦に巻き込まれ、迎えた絶頂は自分でも驚くほどだった。

いつから同性に欲情するようになったのか。
同性の性器に触れたことなどなかったが、今では当たり前のことのように思える。その子の性器をそっと握り、伸ばした舌ではち切れそうな陰茎をなぞり、目を瞑って熱い亀頭をしゃぶった。口の中で溢れる唾液と混ざるその子の体液を唇を鳴らして啜った。自分の身体が、信じられないくらい興奮し熱くなった。私の拙い愛撫に身悶えるその子が愛おしく、目の前で破裂したその子の激しい悦びに見惚れ、いつまでも絡めた指を離すことができなかった。


見たことも無い下着姿に跪く私を、その子は聖母のように慈しみ、私は赤子のように聖母の乳をねだった。真っ白なベッドの上で妖艶な微笑で私を誘う聖母ににじり寄り、聖母の滑らかな背中に抱きつき、首筋に唇を這わせた。
「嫌なら真似事でもいいの・・」
「嫌ではないさ」
「嫌ではないけれど・・上手くできるか自信がなくて」
「嬉しい・・」

膝をくの字に曲げ身体を開いた聖母は、準備してもらった私の性器に手を添え、未知への小窓へと導いた。経験したことの無い挿入感と下腹に当たる、ふっくらしたお尻の感触に翻弄され、身を失う自分を恥じた。すぐに迎えてしまった絶頂を震える身体で詫び、股間に廻した両手を合わせ聖母に懺悔した。濡れそぼる萎えた聖母の性器は、私の不甲斐なさを許すように手の中で身を起こした。そして、私の両腕を握り締めた聖母は長い呻き声を上げ、私の性器を身体の奥へと吸い込み、全身をがくがくと瘧がついたように震わせ、悦びを吐き出してくれた。聖母のきつい締め付けに、私は二度目の絶頂に声を上げ、解けることのない身体の繋がりに、私は聖母への愛を呟いた。






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聖なる夜に

いつかは・・
それは私だって
でも、自信ないし、嫌われたくなかった
先週末届いた一言のメール
「逢いたい」
私の中の殻が割れた

追われる仕事をどうにか片付け
美容院を予約して
時計を見ながらの慌ただしい買い物
最終便に飛び乗った

雪が舞い到着が遅れ混雑する羽田のロビー
柱にもたれ、腕を組む目印のマフラー
きっと彼が
「耕一さん?」
「優ちゃん?」
彼の満面の笑み
来てよかった

膝がぶつかりそうな小さなクルマに
大きな荷物を押し込み、渡ったレインボーブリッジ
スカイツリーは見えなかったけれど
雪に霞む東京タワーのクリスマスイルミネーション
素敵!

「君が来るから」
玄関に飾られたポインセチアの鉢植え
「カレーのルーをシチューにかえただけさ」
彼の手作りの料理と私の好きなワイン
何度も何度も乾杯した

後片付けを引き受け、戻った部屋
徹夜疲れでうたた寝する彼
テーブルに置かれた彼の携帯が突然震えては止まり
ピースサインをした私の待ち受け画面が光った
「どうしても」って懇願されて送った一番良く撮れた一枚
耕ちゃん・・
彼のかわいい寝顔にそっと口付けした

明日はクリスマスイブ
私、うんとお洒落して、可愛い娘になるからね



         Bebe & Cece “Jingle Bells”



        Bebe & Cece “Joy To The World”




”All My Love On Christmas”



ルル



いつものように午前様に帰宅した私は、コートの内ポケットの底からピンクの紙切れをつまみ出した。何かのメモ書きのようで、見覚えのない私はなんだろうと、四隅をきちんと揃えて折り畳まれたそれを開いた。


どうしてもお逢いしたくて
無礼を許しください
吉祥寺の「S」で待っています

               貴方と同じ色を持つルル


何時、何処でポケットに入れられたのか見当もつかなかった。メモの主は私が知っている者だろうか。「ルル」と名乗る酒場の源氏名のような名前で、記憶を呼び起こしてみたが思い当たる節はなかった。
丁寧な楷書で書かれた文字は単なる悪ふざけだとは思えず、「同じ色」と私の男色を見透かしたような文言に落ち着きをなくした私は、メモ書きを丸めてはゴミ箱に捨てた。
しかしメモに指定された日時が近づくにつれ、何時までも取れない奥深く刺さった棘のような不安を消すような、淡い期待と膨らむ好奇心を抑えることが出来なくなった私は、自分への言い訳をいろいろ考えては、指定された「S」に向かった。


ピアノトリオのジャズが流れる休日の昼下がりの「S」は若いカップルが目立ち、連れがいるからと勧められたカウンターを断り、店内が見渡せる奥のテーブルに私は腰を下ろした。
店内を見廻しても、私の知った顔はいなかったが、カウンターの隅に腰掛けていた青年が立ち上がると、注文を取りに来たウエイトレスと入れ替わるように、テーブルに近づいて来て、私の前で立ち止まった。

「ご一緒してもよろしいでしょうか」
「君が・・」
「ルルです」
柔らかそうな前髪を斜めに分け、色白の瓜実顔の青年の微笑みに見惚れた私は、無言で椅子を勧めるのが精一杯だった。

「きっと来てくれると思っていました」
「僕の見当違いではなかった」
「貴方から同じ色を嗅ぎ取っていました」
「どこかでお会いしましたかな」
「話さなければいけませんか」
「君が話したくなければ、あえて聞きませんが・・」
胸元が割れた濃いブルーのニットから覗く滑らかそうな素肌、丸い腰のラインを強調する細い黒のパンツ。ルルの中性的な妖しいスタイルに惑わされ、密かに欲情をそそられた私は今日の出会いの経緯など、どうでもよくなってしまっていた。

「君の名前は歌劇のルルからかな」
「貴方なら分かってくれると思っていました」
ルルは嬉しそうに頷いて、運ばれてきたワインを一口し、グラスの淵に付いた薄いリップを親指で拭った。


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意地悪

「僕、何か変でしょうか・・」
 ホテルの部屋で、向かい合いソファに座るその子は、困惑した表情を私に向けた。
頬杖を付き、目の前に座るその子を無言で眺める私のことが気になったようだった。
「可愛いなあ、と思ってね」
「えっ」
「可愛くないです」
「いや、可愛い」
「そんなに真剣な顔で言わないで下さい」
「私には勿体ないくらい」
「可愛い」
その子は照れたように視線を落とした。

「男の人に可愛いなんてはじめて言われました」
はにかんで頬を赤らめるその子に私の加虐趣味がそそられた。
「そう、君の周りは見る目がないね」
「僕の想いを分かってくれる人は・・」
「周りにはいません」
「君の想い?」
「どんなことかな?」
「お分かりのことと思います」
恥ずかしそうに俯き、その子は呟いた。

「顔を上げなさい」
驚いて顔を上げたその子は潤んだ瞳を私に向けた。
「話してごらん」
「恥ずかしいです」
「話なさい」
その子は私の視線から逃げるようにゆっくりと顔を背け、窓の向こうに映る夕暮れの高層ビルを見詰めながら、言葉を選ぶように話しはじめた。美容師という仕事柄、綺麗にヘアダイした栗毛色の髪、鼻筋が通った横顔が美しかった。

「男の人に抱かれてみたくなって・・」
「男に抱かれる?」
「君は同性愛者ではないと言っていたが」
「ええ、違うと思っています」
「でも・・」
「でも?」
「言ってごらん」
「僕は小さいときから人一倍、女性の姿に興味がありました。学校帰りに髪を綺麗にセットして、お洒落に着飾った女性がいると、思わず立ち止まったりして」
「子供だったので性的な興味ではなくて、綺麗なものに憧れていたんです」
「その憧れは僕の中にずっとあって、今の仕事に就いたのもその思いからなんです」

「憧れだけで、君は此処に来たわけではないだろう? 君の容姿なら女の子にもてると思うが」
「女性とはお付き合いしたことあります」
「性交渉だってあると思うが」
「はい・・」
「ちゃんとできたんだろ?」
「ええ、でも、なんだか違うような気がして・・」
「満足できなかった?」
「まあ・・」
「はじめはこうゆうものだと思っていましたが、違うような気持ちが大きくなってきて」
「夢中にはなれなかったんです」
「それは君と彼女との相性が悪かったことかな?」
「自分でもずっとそう思っていました。でも次にお付き合いした女性ともその気持ちが強くて・・」
「実は彼女からいつも彼方は別なことを考えているようだと言われ、ふられました」
「言われてみれば彼女の言うとおりで、彼女のことは嫌いではなかったのですが・・」
「本当は、僕は彼女に抱かれたい願望のほうが強いんだとそのとき気付きました」


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