夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

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瓶に小銭は貯めていませんが・・

このお盆休み、ウン十年ぶりに友人と再会いたしました。お互い歳は取っておりましたが
気持ちはあの頃のままで、時間が戻ったような楽しいひと時でした。
その晩、二人で繰り返し聴いたのがこのCD。 “Pennies In A Jar” Nikki Jean ニッキー・ジーンなる
歌手のデビューアルバム。
なんと作曲者にバカラック、トムベル、ディラン、キャロルキング、さらにはラモントドジャーなど豪華な顔ぶれ。

このお嬢ちゃんのどこに惹かれて曲を提供したのか、よく分かりませんが、バカラックは例のバカラック風の、
トムベルはフィリー調の、ラモンドジャーは60年代のモータウンソングのようで、
思わず頬が緩んでしまいます。

この映像はあの有名なテレビ番組に出演した時のもの。ちょっと上がっていたようだけれど、
初々しくてチャーミングな彼女です。

"How to Un ring a Bell" (Thom Bell & Nikki Jean)




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怪談 芳一


夏の夜のお話の定番はオバケ話。実は私も一度だけ遭遇したことがあります。そのお話はいずれの機会に……。

ある夏の夜、余りの暑さと寝苦しさに目が覚めた墓守の芳一、障子の向こうの廊下で衣擦れの音が聞こえた。
「はて、このような夜中に何事」と不審に思い、起き上がると障子を開けた。
驚いたことに廊下の先に真っ白いサマードレスを着た女性が立っていた。
年の頃は二十七、八。華奢な身体に長い黒髪を真ん中で分け、物憂げな表情を芳一に向けた。

「お嬢さん、このような時間にどういたしました?」
「私事で遅い時間にしか外出できない故、非常識を承知でお墓参りに来ましたが、帰る手立てが無く困っております」
「そのようなご事情でしたら、夜が空けるまでこちらでお待ちくださればいかがですか?」
「冷たいものでもお持ちします」
「私はこの霊園で墓守をしている芳一と申します」
「失礼しました。私、小夜子と言います」


夜中に若い女性が墓参りなどするわけないことは分かっていた。場所柄彼女は幽霊に違いないと確信したが、その妖艶な容姿に魅せられた芳一は化かされるのも一興かと彼女を部屋に招き入れた。


聞けば、この春、恋人を不治の病で亡くし、悲しさと寂しさに打ちひしがれる毎日。身の上に同情した芳一は、むせび泣く彼女の手を握り慰めようと肩を抱き、しな垂れてきた彼女を受け止めた。目を閉じ口付けを迫るような彼女の仕草に芳一はそっと唇を重ねた。

経験したことの無い濃厚な口付けと身体を這う柔らかな彼女の指。彼女の唇が、はだけた寝間着から飛び出した芳一の性器を扱き、芳一は喘ぎ悶えた。仰向けになった芳一に背を向けドレスを脱ぐ彼女のお尻に食い込む小さな下着に目を奪われた。妖艶な微笑みをうかべ、ゆっくりと振り向いた彼女の尖った股間に驚き息をのんだ。
「そう……芳一様」
「私はオ・ト・コ」

金縛りで身動きできない芳一に覆いかぶさってきた彼女の巧みな愛撫に翻弄される芳一の身体。
もはや為す術がなかった。

初めて知った男色の味。
苦悶に顔をゆがめ、薄い胸を大きく反らせ愛撫をせがむ彼女。
そして芳一の手の中で迸る彼女の絶頂が愛おしく思えた。
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スポーツクーペ

瀟洒なマンションの裏道に車体を歩道に半分乗り上げ駐車している漆黒のスポーツクーペ。マンションの住人の車でないことは明らかだった。
埃にまみれ、へこんだバンパーとドアに引かれた十円傷。憧れのクルマの酷い状態に心が苛まれ、怒りすら覚えた僕は、カバンからメモ帳を取り出した。

オーナーへ
貴方にとってこのクルマに思い入れなどないのかも知れませんが
この艶やかでセクシーなスタイルに憧れている者がいることを知ってください。
もっとクルマを愛してください!
メモを破りワイパーに挟んだ。


今夜もその車は止まっていた。
マンションの垣根に車体を擦り付け前輪を大きく右に曲げ、まるで挟んだメモを嘲笑うように。僕はドアの前に立ち尽くした。

「あなたでしょう?」
「挟んだの」
振り向くと腕を組み僕を睨みつける女性。
持ち主が女性だったことにも驚いたが、その何とも言えない妖艶な容姿にたじろいだ。

「クルマ、もっと大事にしてください」
「どいてよ」
ふらつく足元、アルコールの匂いがした。
「お酒飲んでいますね?」
「うるさいわね」
ドアノブを握った細い腕を掴んだ。
「いけません!運転しちゃあ」
「・・・・」
「それじゃ、あなた運転してよ」

思いもよらぬ彼女の言葉。しかし憧れのクルマを運転できるチャンスに投げつけられたキーを拾った。酔った身体をドアで支え呟く道案内。夜の首都高を下り、国道を左折して静かなマンションの駐車場にクルマを止めた。

「降ろして」
助手席に回り脱げたパンプスを履かせ、彼女の身体を支え部屋のドアを開けた。
崩れる身体をソファーに座らせ、言われたとおり冷蔵庫からミネラルウォーターをコップに注ぎ彼女に手渡した。
「ありがとう」
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさい」
「家まで送らせて」
「かまいません。憧れのクルマを運転できたし」
「僕、帰ります」

「まだ帰らないで」
「お願い」
「まだ・・」
僕の腕を引っ張り潤んだ瞳に引き寄せられた僕は、しな垂れてきた彼女の柔らかな腰を支えた。
悩ましいお化粧と香水の香り。

「手握って」
マニュキアが光る細い指に右手を添えた。
「・・して」
「キスして」
眼を閉じた彼女の濡れた唇に、乾いた唇をそっと当て、すぐに離した。
「私じゃあ・・嫌?」
首を横に振った。
「なら、もう一度して」
抱きついてきた彼女に唇を塞がれた。
甘い溜息。絡めた舌。熱い唾液。
柔らかな唇に夢中になり、湧き起こる欲望を悟られないように揃えた両脚に指を尖らせる彼女に挑発され、僕は手をわき腹から腰に落とし、斜めに揃えた太腿を撫でた。
滑らかな黒いパンツの手触りに誘われ、股間に指を伸ばした。
「今夜は」
「許して」
僕の腕をやんわりと握った。


真夜中、自宅近くのコインパーキングにクルマを止めた僕は、彼女の残り香を何度も吸い込み、初めての経験に抑えきれない欲望をハンカチの中に吐き出した。

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