夜のお伽噺

アルのオリジナル小説置き場です

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Old Fashion Love Song

我慢出来ず、溜息を漏らし喘いだ。たまに聞こえるのは冷蔵庫の作動音だけ。でも二人の耳には互いの早い鼓動がうるさいくらいに響いている。仲良く敷かれた布団の片方に、音を消されたテレビの深夜劇場の画面が明るくなった時だけ二人の姿態がぼんやり浮かび、暗くなると目を開けているのか、閉じているのか判らないほどだった。

好和は康平の左の小さな乳首に唇をそっと当て、もう片方の硬くなった小さな乳首を摘んだ。康平は好和の愛撫から力のない抵抗を試みるが、初めての感覚に簡単に負けてしまう。以前女性の乳首と性器の神経は繋がっていると、どこかで聞いたことがあったが、男にも当てはまるとは思わなかった。好和が吸うと康平の腰が反射的に上下する。好和にはそれがとても嬉しかった。

鈴木康平と好和の出会いは全くの偶然で、康平が就職して、会社と仕事に少し慣れてきた頃、上司のお供で行ったラウンジ「ベラミ」という名の酒場だった。上司の贔屓の店らしくカウンターに座り、康平は皆に紹介され、お決まりの乾杯。上司はお気に入りの女の子を相手におしゃべりに花を咲かせ、康平は上司の手前おとなしく飲んでいた。
手持ち無沙汰な様子を見かねたように、ボーイがカウンター越しに康平の前に立ちおかわりを勧めてくれた。小柄で童顔な彼は、康平より2歳年下の美術系の学生で、夜はアルバイトで店に出ているという。彼とは音楽の話で馬が合い、彼も暇を見つけては康平の前に立った。上司は上機嫌でご帰還の合図で腰を上げ、お供の康平も見送り受けた。
家に着いた康平は女の子の源氏名の小さな名詞と、彼が差し出した佐々木好和と書かれた名刺を上着から取り出しテーブルに置いた。


2度目に康平が「ベラミ」に行ったのは、同僚たちと宴席の2次会だった。テーブル席に案内され、女性相手に下ネタ話で大いに盛り上がり康平も楽しんだ。康平が席をはずすと、好和が声をかけてきた。「鈴木さん、ダイスやりませんか」康平は好和とこの前の音楽の話の続きがしたくて、快く応じた。
カウンターをはさみ康平と向かい合った好和は、慣れた手つきで3個のサイコロを革のカップに放り込みテーブルの上でばやく振り、3個のサイコロを積みあげた。「3個は割りと簡単なんです。鈴木さんに見せるのに失敗しちゃあいけないでしょう」好和は照れ笑いしながら康平にカップを渡した。康平は見よう見真似でカップを何度も振ったが、一度もサイコロを積み上げることが出来なかった。好和はサイコロをもう1個増やし何回かの失敗後、見事に4個のサイコロを積みあげた。「鈴木さん今度レコード屋巡りしませんか」好和は口約束を覚えていた。二人は今度の休みに出掛ける約束をして、またダイスに興じた。
康平は好和の細く長い指先にうすくマニュキアが塗られているのを見とめたが、とても自然に思えた。

続く。
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Old Fashion love Song 2

待ち合わせの場所に立っていた好和は決して派手ではなかったが、同年齢の学生とは全く違う印象を康平に与えた。淡い色使いのペイズリー柄のドレスシャツにグレーのストライプのスリムなスラックスを穿き、変わったデザインの時計とシルバーのブレスレットを左腕にはめ、開いた襟元からシルバーのチェーンが覗いていた。
誰から見ても目を引く、お洒落なロックミュージシャンのようなスタイルだった。昼間の好和はさらに色白で、店では固めていたセミロングの栗毛色の髪を下ろし前髪を自然に分けていた。「佐々木君、お洒落!」感心する康平に好和は照れたように白い歯をみせた。

二人はすぐに打ち解けて東口の輸入盤屋を何軒か冷やかし、喉が乾いたと入った喫茶店で好和は鈴木のことを康平さんと名前で呼ぶようになり、年上の康平は佐々木を好和と呼ぶようになった。
「康平さん、僕の家に寄っていきませんか」好和とこのまま別れるのも心残りのような気がしていた康平は、好和の家はここから電車で2つ目だという近い距離でもあり、寄り道することを決めた。
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Old Fashion Love Song 3

包みボタンのスタンドカラーの白いシャツに黒の細いスラックスを穿き、この間とは全く違う印象で現れた好和に案内され二人は会場に向かった。新進気鋭の女性版画作家の初めての個展ということで会場は賑わい、作品について何も分からない康平は好和の説明にただ頷くだけだった。この日康平は好和が香水をつけていることに気が付いた。香水を付ける男など気障な奴と軽蔑していた康平だったが、好和が付けた香りはお洒落な好和に自然に溶け込み、その果物のような甘い香りに魅了された自分がなんだか不思議だった。
「好和、香水つけてる」
「あっ、ごめんなさい」
「謝ることはないよ。いい香りだ」
香りを褒められた好和は嬉しそうに笑みを浮かべた。

帰りに新宿の画材屋に付合い、夕食がてらに三越裏の焼き鳥屋に立ち寄り、時間が経つのも忘れ、男二人がなぜこんなにもおしゃべりなのか呆れるほど話し込み大笑いした。
「康平さん、明日も休みでしょう」
「音楽聴きながら家で飲みなおしませんか。よかったら泊まっていってください」
独り住まいの康平には帰らなければいけない理由もなく、尽きることのない話に二人は駅前で酒を買い好和の部屋へ向かった。


好きなレコードを何度も掛け、封を切ったスコッチは残りわずかになっていた。両腕を伸ばし、康平の大きな欠伸に好和は康平に風呂を勧めた。
「康平さん、布団敷きますから先にお風呂入ってください」
「えっ風呂、今夜はいいよ。少し酔ったし」
康平は初めて泊めてもらうことへの遠慮と、風呂を汚しては悪いような気持ちがあった。
「駄目、駄目。シャワーだけでもいいから入ってください」
康平の腕を引っ張り好和の強引とも思える誘いに断りきれなくなって、シャワーだけで済ますことに決め重い腰を上げた。風呂にはすでに湯が張ってあったが、康平はシャワーの栓を捻り頭から浴び、両手で泡立てた石鹸で全身を洗い最後に性器を扱くように洗った。
「バスタオルここに置きます」
ガラス戸のむこうから好和の声が掛かり、風呂場を汚していないか確認してシャワーを止めた。
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Old Fashion Love Song 4

康平は天井を見詰めていた。康平は同性ながら好和の穏やかな性格と物腰に惹かれていた。そのことを好和は感じ取っていたのだろう。思ってもいなかった好和の告白に驚いたが、思いつめ康平に縋る好和に同情もしていた。康平の返答によっては軽蔑、罵倒され、部屋を出て行く康平とは二度と会うことも出来なくなることは好和には分かっていた。たぶん好和は店を辞める覚悟の上で告白したに違いないと康平は思った。
もちろん康平は同性愛者ではなく、これから起こる初めての性的な行為に気持ちは揺れたが、なぜか好和の下着姿に異性の裸体を見て湧き起こる同じ昂りを感じてしまっていることに戸惑いを感じていた。
 
長いシャワーの音が止み、風呂場を出た好和はなかなか部屋には入ってこなかった。時間の進みが遅く長く感じだした頃、そっと襖が開き、昼間と同じ香りがする白い小さな下着姿の好和が立っていた。好和はテレビのボリュウムを消すと、片肘を付いて身体を起こした康平の脇に跪いた。
「憧れていました」
「僕とこうすることをかい」
「はい・・でも言い出せなかった」
「でも今夜しかないと」
「康平さんは居てくれた。嬉しかった」
「好和」
「ごめんなさい。我がまま押し付けて」
好和は恥ずかしそうに康平の肩に両手を置き、倒れた康平は唇を塞がれた。

生まれて初めての、それも同性とのキスはハッカの味がした。すぐに離れた唇が首筋から肩を啄み、康平のTシャツを捲くった。康平は緊張と異常な興奮で思うようにならない身体を好和に任せるしかなかった。好和の唇と指先が触れた康平の小さな乳首はすぐに固くなり、刺激に我慢できないと喘ぎ悶えた。好和の唇の動きに引きずられるように康平の腰が上下し、好和は嬉しくなった。
好和は乳首を摘んでいた指を脇腹に滑らせ、指先がブリーフの淵に触れるや否や康平に手首を握られた。
「好和、恥ずかしい」
「康平さんを辱めるようなことは絶対にしません」
「だから・・」
「お願いです・・」
無言で頷いた康平の手から力が抜けた。
康平の性器はすでにブリーフの中で勃起していた。好和の指先が股間に滑り康平の欲望を感じとると、好和は「嬉しい」と安堵の溜息を吐き康平に抱きついた。

続く。

Old Fashion Love Song 5

抱きついてきた好和の股間は小さな下着の中で康平と同じように勃起していた。同性の性器がそれも勃起した性器が自分の身体に触れたことに康平は驚いたが、決して不快なことではなかった。それよりも性別を超えて湧き起こった欲望を嬉しそうに喜ぶ好和の興奮した想いを感じ取った康平は、求めてきた好和の唇を素直に受け入れた。
薄く開いた康平の唇に好和が舌を差し入れると、康平も誘われるように震える舌を伸ばし、互いの唇を吸い合う音に二人の興奮は高まっていった。康平の尖った股間に好和は手の平を這わせ、初めは羞恥心で嫌がっていた康平だったが、好和の柔らかな手で導かれる快感に好和の口の中に甘い溜息を吐いた。


好和にそっとブリーフを引き下ろされ飛び出した康平の性器は脈打ち発熱し、興奮で漏れた体液で亀頭は濡れていた。
「好和、恥かしい」
「康平さん嬉しいです」
好和の細い指が性器に絡まり、前髪を垂らした好和の顔がゆっくりと股間に被さり、康平の性器に唇を被せた好和は目を閉じた。
「好和!」
好和の予期していなかった行為に驚き、身体を起こした康平は好和の腕を掴み、好和を引き離した。
「好和、君は・・」
「康平さんを辱めるようなことはしません」
「でも僕のあなたへの想いを、どうか許してください」
「お願いです」

潤んだ瞳で康平を見詰め、切望する好和に小さく頷いた康平は観念したように両手を布団に投げ出した。
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